奇蹟と云う事がある。私たちは奇蹟を信じたい心持ちになっている。
1922年(大正11)7月12日
七月十二日 水曜日 晴 起床六時 就眠十時半
やかましい試験もすんだ。どんな成績があたえられるか私は考えない。
先生と賀茂の方へつれていただく。
緑の木陰に安らかにのびのびとやすむ。
苦しい試験の事はすべて忘れて……
1922年(大正11)7月13日
七月十三日 木曜日 晴 起床六時 就眠十時
従弟はあのままの状態でまだもてている。
こんなにもてるのなら助かるのかもしれないなんて事まで云う。
心臓が強いのかしら、一つの食物も取らず衰弱し切った身体なのに。
奇蹟と云う事がある。私たちは奇蹟を信じたい心持ちになっている。
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