時の経つのも忘れて久しぶりに笑いこけたのだった。
1922年(大正11)6月9日
六月九日 金曜日 晴 起床六時 就眠十時
寺村様のお宅へ遊びに行く。
洋館で長い間お話する。お兄様やお姉様みんな絵や何かがお上手だものだから奇麗に気持ちよく飾ってあった。
〝美的観念が私よりはるかに勝れてるのね〟と云ったら〝そんな方面ばかり頭が走って肝心が駄目やわ〟って謙遜してらしった。
夕御飯前まで、時の経つのも忘れて久しぶりに笑いこけたのだった。
「寺村様」は、河原町の糸物商の旧家で、その初代から徳正寺の檀家である。
初代寺村三右衛門(1749-1835)は、百池と号して、与謝蕪村(1716-1783)の高弟にして、晩年の蕪村を支えた後援者でもあった。
『角川茶道大事典 普及板』(2002年)より。この大部の事典(1478ページ!)を18日で店じまいされる河原町三条の京阪書房で今日、購入した。河原町通りからまたひとつ本屋の灯火が消える。
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